2016年8月6日土曜日

閑話休題 メタ・ドキュメンタリーのドキュメンタリー化

昨日アップした「ロス・ヴィドリオス」の”探索”を行っていて自分のことで認識したことがあります。

あたしは、もともとメタ・ドキュメンタリー(フィクション)のドキュメンタリー(ノンフィクション)化が大好きだったのだということです。

SFやファンタジーが好きだってことは、きっと夢想しがちで空想の事象がどこかで現実になっていることを心の底で願っているのでしょう。

大分前に、半村良の『小説 浅草案内』について書いたことがあります。

タイトルにわざわざ「小説」と書いたのは題材にされた人やお店に余計な迷惑がかからないだろうという配慮と思い、作品で扱われているお店を実際に自分の足で確かめたことがあります。

浅草ROXの中に書店がありまして、そこでしか売っていない地元発行の浅草の地図というものを見つけました。

これを買い求めて、半村良の本とくびっぴきになってその内容から、この店はこのあたりに違いないとあたりをつけてフィールドワークに出かけました。

中でも忘れられないのが以前の記事にも書いた言問通りと千束通りが交わるところにある「正直ビヤホール」です。

小説の中でもビールの味が絶賛されていて”実在”しているのなら絶対に飲みたいというので万難を排して(要するに職場を早退させてもらい)一人ででかけたことがあります。

なぜ、早退かといいますと下見の段階で「とても入りにくい店だ」というのを認識していたからです。
そういう店は開店早々ですとお店の方々も余裕があるし常連も到着していないのでこちらも入りやすいというわけでして。(ドイツのライブハウスでセッション参加を目論んだときと同じ料簡です)

以前も書きましたように小説に登場するご主人はすでに亡くなられていまして、奥さんが後を継がれて店を続けていました。
『小説 浅草案内』を読んで来たことを告げると喜んで歓待してくれたのが忘れられません。

しばらく通ってずいぶんと良くしていただいたのですが、仕事が忙しくなってその後すっかり遠ざかってしまいました。初めて訪れたのが、記憶があいまいですが1997年です。

文庫の発行が1988年、元が雑誌連載記事なのでさらに数年前の執筆と想定すると、あたしが訪れたのは半村良が浅草の検番近辺に住んでいた時期から15年以上経っていたことになります。

昔のブログ記事を読み直してみると前に『浅草案内』に触れた記事ではあたしはお店の名前を明かしていませんでした。

そして今回は具体名を書きました。
これは一体、どういった心境の変化なのでしょう?

まるでカルロス・カスタネダの固有名詞の記述の変遷と同じ流れではないですか?

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