2016年10月1日土曜日

旅17 ふさわしい敵

1962年12月11日に、カルロスが「力の肉」にする獲物用のワナをしかけましたが一日かけてもつかまらないのを見てドン・ファンが、「誰かがおまえの狩りのじゃましとるな」とつぶやきます。

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一カ月以上前、わたしは『ラ・カタリーナ』と呼ばれる女呪術師と、恐ろしい対決をしたのだった。(旅293)
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デミルの指摘通りラ・カタリーナとの対決した日は明示されていません。この日誌から逆算すると1962年11月11日より前ということがわかります。

以前の推論で、カタリーナとの対決を下記の期間としてありました。
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1962年4月16日~5月13日 (ア)
1962年5月15日~6月22日 (イ)
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ここで、もうひとつ
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1962年11月11日以前 (ウ)
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が加わりました。上記の書き方からみますと、設定の(ア)と(イ)は、見当違いだったようです。
このあと、カタリーナに関する情報は出てきませんので追跡は、ここまでが限界かもしれません。

人を騙してまでして呪術を学ばせるやり方に異議をとなえるカルロスですが、ドンファンは「わしらはトリックにかけられなけりゃ、ぜったいに学べんのだ」と答えます。

その後、二人はドン・ファンの指示どおり車で小さなメキシコの町まで行きます。商店街のある店の前で止めろといわれてみるとそこにラ・カタリーナがそこに立っていました。

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きれいな女性だ、と思った。彼女はとても黒く、ふくよかなからだつきをしていただ、強そうで筋肉質のように見えた。(中略)
どう見ても、せいぜい三十代はじめぐらいだった。(旅296)
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美しさに気を取られうっかりスキを見せたカルロスを守るためにドン・ファンがかん高い笑い声でカタリーナを撃退します。なんてたってカルロスはあたしたち以上に女に目がないですから。

その後、ドン・ファンが得た予兆にしたがって場所を変えカタリーナを待つことしますが、カルロスは黒い大きな影に襲われます。影は空を飛びうしろのヤブの中へ落ち、かん木にあたる音と不気味な叫び声がします。

家に戻った後もこれに関する解説はしてもらえませんが、あの影が女だったことをカルロスは認めざるをえません。

翌日(1963年12月12日)、ドン・ファンは妙な用事を片づけるために出かけ、カルロスは別なコミュニティーのヤキの友人を訪ねたとあります。
でも、「妙な用事」(some mysterious errand)ってなんだ?

1963年12月12日。そのコミュニティーはガダループの聖母マリア(the Virgin of Guadalupe)を祝う『フィエスタ(祝祭)』の準備中でした。

町は、パーティの準備でメキシコ人の店主とジュリオという名のシューザズ・オブレゴン(シウダード・オブレゴン、Ciudad Obregon)ある道具屋との間で、パーティで使うレコードプレーヤーとレコードの扱いについてちょっとしたいざこざに遭遇します。(旅301)



カルロスが訪れたこのコミュニティはおそらくトリムではないでしょうか?

パーティでよそ者扱いされて気まずくなったカルロスがこっそり集まりを抜け出したところ、暗がりでラ・カタリーナの不意打ちにあいます。

ラ・カタリーナは、鳥のように一度に3メートルもはねカルロスは怯えます。

ところでカタリーナの不意打ち事件に至るまでの祭りの準備やら町のひとびとのやりとはいつになく詳細です。
もっとも、いつもはドン・ファンとカルロスの二人だけのシーンが多いからそう感じるのかもしれませんが、この風景描写は時期や場所はともかく真実ではないでしょうか?

翌日(1962年12月13日)、ドン・ファンにことの顛末を報告しますが、パーティに参加するにしても戦士の心構えがなっていなかったと叱責されてしまいます。

カタリーナにぶちのめされなかったのはよかった、いまのカルロスの唯一の守りは自分の『うさぎの足たたき』の踊りをおどるだけだと言われます。(体術)

ふーん、「戦いの形」ってそういう名前なんだ。

あたしは以前、うさぎを長年飼っていたのでよく知ってますが、怒ると足を踏み鳴らすんですよね。バタバタって。怒っても可愛いです。

ドン・ファンにこれからラ・カタリーナの家を確認に行くといわれカルロスはビビります。
昨夜の待ち伏せも含め、カタリーナの住まいもトリムかもしれません。

彼女の住まいのそばに近づいて空いたドア越しに彼女の姿を見て、暗闇で襲ってきたのがたしかにあの女だと確信します。

この後、不思議なことにカタリーナとの直接コンタクトをするエピソードはありません。

後に、カタリーナがカルロスを好きになったとドン・ファンが語るシーンがありますが、その過程を示すストーリーもありません。

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