2016年8月10日水曜日

消えゆく伝統(分離4 ひとりひとりの道(2))

ドン・ファンの孫、ルシオと仲間たちとの宴会にのぞみ・・・

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小さなケースに入れておいたテープレコーダーを回した。
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テープレコーダー出ました!
ここではケースに入れています。やはりカルロスは、ドン・ファンとの対話も本当は隠し録りをしていたのではないでしょうか? 手書きのメモだけじゃ会話に追いつけないですよね。

(追記2017/5/10 テープレコーダーについては、こちらもどうぞ

家にはドン・ファンを入れて下記の8人がいました。

・ドン・ファン
・ドン・ファンの孫のルシオ
・ルシオの友達の一人、ベニニョ。
・キコリで小さい細身のバジェア
・ドン・ファンくらいの年の老人、エスケル
・中年のジェナロ(呪術師のドン・ジェナロではありません)
・若者ヴィクター
・若い農夫のエリジオ、ルシオの幼馴染。

カルロスが持ってきたバカノラの香りを嗅いで「豊かな香りからチフアフアの高山の産にちがいないと言った。(分離78)とあります。

新しい地名か?と思いましたが、またもやこれはチワワの英語読み?か日本語読みと判明しました。チワワのスペルは、chihuahuaです。ローマ字で読んでみてください。

一同は、カルロスがメスカリトを学んでいると聞いたこともあり、古い慣習や伝統についてちょっと小ばかにしたような話を始めます。

老人であるエスケルがドン・ファンに「知ってること(知者)」について尋ねる場面もあり、年配者であっても呪術の文化についてまったく知識がない人々がいることがわかります。
Huichol Woman artisans.jpg
Wikiよりウィチョル族
ジェナロやバジェアは、露骨にメスカリトをバカにした発言をします。
ジェナロいわくウイチョル・インディアン(Huichol Indians)が噛んでいるところをみたけど、くるってた。(分離80)動物以下だといいます。

このウイチョル・インディアンを日本語で検索してみますと、たしかにペヨーテに関する情報がたくさんかかってきます。

右の写真は、英語版ウィキからの引用ですが、同じページに掲載されているウィチョル族の居住エリアの地図をご覧ください。



Huichol.png



既出の地図と見比べていただくと今回、宴会が行われているエルモシージョよりは大分、南、グアダラハラ、ナヤリト、サカテカスという州が接しているあたり、中央メキシコの人々ということがわかります。

話が少しそれますが、途中、マカリオというアリゾナに住んでいるインディアンの話になります。

「(マカリオは)ヤキだがみなから嘘つきだ」という噂話ですが、この「ヤキだが」という言い回しから、この集まりの人々はカルロスを除いて全員がヤキ・インディアンだと思われます。

また、ヴァレンシオという男の踊りに関する噂が出て、エリジオがトリム(Torim)の街で踊り手だったという話題に転じ、踊りといえば、サカテカ(Sacateca)の踊りはどうだい?という話になり、ドン・ファンはサカテカは知者だというやりとりがあります。(分離82)

このサカテカは、カルロスが不意に訪問して冷たくあしらわれたあのサカテカです。

あたしの推測ですが、この文脈ですからサカテカの住んでいる町は、Torimではないのでしょうか?またルシオが暮らしているのはTorimではないけれど、遊びにいくのはTorimの町、という位置関係ではないかと思います。


孫のルシオも含め、みなが呪術文化を認めていない中、一人、エリジオだけはドン・ファンに真剣に質問を続け、エリジオは後にメスカリトを体験することになります。

ドン・ファンがいいます。

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バジェアはそれ(メスカリト)をかむやつはみんな動物のようになっちまうというが、わしはそうは見ない。わしにいわせりゃ、自分は動物より上だなぞと思ってる奴にかぎって動物以下の生活しかしておらん。
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