2016年10月29日土曜日

グロリア・ガーヴィンの話(4)『ドン・カルロスの教え』(15)

カスタネダの秘密を暴いてはいるが、デミルはカルロスの仕事に敬意を払っている。(少し簡略化しました)

「カスタネダはただの詐欺師ではない。彼は真実をもたらすために嘘をついたのだ」デミルは彼の最初の著書Castaneda's Journey(『呪術師カスタネダ』=『虚実』)で言う。

「彼の話は真実の話ではないが真実で満たされている。彼は簡単に理解できるような物語を書く寓話作家ではない。エクアドルのジャングルで命がけで現地踏査をして採話してくるような民俗学者でもない。これはシャーマンが生み出した贈り物なのだ、不可解で魅惑的、智慧と欺瞞を兼ね備えているのだ。

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最初にUCLAの学生会館で会った時から4年が過ぎていた。Gloria Garvinは、カルロスと実際に顔を合わせて会うようになった。彼の著書は全部読んだし、学内で横行しているゴシップにも加わっていた。

ゴシップの中には、非常に俗な内容でカルロスは女好きだという話もあった。カルロスが本当は砂漠にも行ったことがないのではないかという者もいた。
たまにいなくなるのは、砂漠に行っているのではなくて、とっかえひっかえ相手を変えているのをごまかすためじゃないかというのだ。

加えてカルロスとつき合っている図書館の司書がいた ~ 後に、カルロスによれば、ドン・ファンとの訓練でエネルギーが傷ついたためにパンドラ邸(the Pandora compound)に一緒に何年も済むことになる。

これがGabiとGregが障害のある住人が一人いるといっているのは、この人のことですね。名前は明らかになっているのでしょうか?Amy Wallaceの本に書かれているかもしれませんのでしばらくお待ちください。今、半分より少し先まで進んでいます。(追記:結局、判明しませんでした

カルロスは他にも二人、学部で巻き込んだ女性が二人いる。Regine Thal と Ann Marie Carterだ。二人は後に、Florinda Donner-Grau と Taisha Abelarに改名する。

ジーナ(フロリンダ・ドナー)も、UCLAの学生だったのですね。
フェデリコ・フェリーニとはどうやって出会ったのでしょうか?
カルロスは、フロリンダ・ドナーとはフェリーニを通して知り合ったのですから、カルロスの伝手でUCLAに入ったのかもしれません。

さらに既婚で二人の子持ちのJudy Guilfordという女性とも会うようになる。後に彼女はBeverly Amesと名乗り、最後には、Carol Tiggsに改名する。

中でもティッグスは、カスタネダ界隈では「第二の注意力」に10年間囚われていてカルロスと仲間たちを助けるために戻ってきた強力な呪術師として名をはせる。

なにしろ「女ナワール」ですからね。ドン・ファン・シリーズでも最後まで謎の存在として扱われるし。

Tiggs、Donner-Grau と Abelarの三人はカルロスの命を永らえさせるために三人の魔女体制をしく。
三人は各々が体験したドン・ファンとの弟子生活を記した本を出版する。

あれ?キャロル・ティッグスは本を出してないと思うのですが・・・。
追記:わかりました。出していません。詳しくはAmy Wallaceの本のところで紹介します

グロリアはたまにカルロスと電話や手紙で連絡をとっていたが個人的に会うことはこれまでなかった。1973年の冬、キャンパスで彼女は彼を見つけた。彼らの目が合い彼が近寄ってきた。彼はまるで昨日別れたばかりのように振る舞った。

そして、今、カルロスとグロリアは夕日の中ベンチで足を組んで座っている。二人で親しげに肩にブランケットをかけている。カルロスは自分の両手で彼女の手を優しく握って、彼女の金色に輝く青い目を見つめた。

「これは普通の出会いではないよ」カルロスが言った。

「君を連れていきたいが、僕はもう普通の人間ではないから普通には連れていくことができない。

君の面倒をみたい。僕の妻になってほしい。ずっとそう思っていたんだ。ドン・ファンにもそういわれていた。彼は君のことを見たんだ。君は夢の中で僕の周りにいたんだ。ドン・ファンは君のことを僕と嵐の真ん中にいる女性になると言っていたんだ。

他にも、東西南北の風があるが、彼らはとても冷たくて情け容赦ない女性たちなんだ。でも君は違う。君の面倒をみたい。君のために僕のすべての力を使いたい。これはずっと長い間決まっていた約束なんだ。ぼくたちの生命の存在を超えた約束だ」

最悪なゲスでしょ?

そしてカルロスはグロリアにキスをした。強い、直接的なキスだったが、情熱的ではなく、雑でもなく、自分を抑えていて、ただ直接的だった。彼女は他にどういっていいかわからなかった。その瞬間、海岸の音が静かになった。時間が止まった。

彼女は何かを彼に明け渡したように感じた。なにかとても深く、そして二度と取り戻せないものを。

(グロリア・ガーヴィンの話 ~完~)


残念ながら、グロリア・ガーヴィンのその後についてはこの作品では触れられていません。

パンドラ邸に暮らす仲間になったのか?それともカルトの手から逃れることができたのか?

この話に登場していることから最終的には集団を離れたことは確かそうで、それがなによりです。

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