2016年12月9日金曜日

環(9) 3 ラ・ゴルダ(2)

ラ・ゴルダは、以前の夫との荒れた結婚生活からパブリトに出会い、そしてナワールに出会うまでの半生をカルロスに語ります。

子供を産んだことにより失われた自分の完全さをとりもどすために、二人の子どもとの愛を断ち切った話をします。

これはカスタネダの「教義」というかカルトの基本となる親類・友人・縁者と縁を切らせる考え方ですが、ドン・ファンが当初言っていた「履歴を消す」という考え方とかなり異なっている気がするのです。カルロスが出会った当初、ドン・ファンはお嫁さんや息子と普通に日常生活を営んでいましたからね。

すると、ラ・ゴルダがとつぜん「(完全さをとりもどしたので)子どもなんかもったことないのよ」といいスカートをまくりあげて自分の性器をカルロスに見せました。(環155)

ドニャ・ソルダードの誘惑の仕方などとよく似た、露骨な動作です。
これは、タイシャ・エイブラーの『呪術師の飛翔』にも表れる表現で、いずれもカルロスの著作に共通の表現というか趣味?かと思われます。

ここで、ラ・ゴルダより、ナワール(ドン・ファン)には、息子が三人と娘がひとりいたと語られます。(環158)

これが部分的に真実としますと、かつて事故で亡くなったドン・ファンの息子は三人の内の一人ということになります。

ラ・ゴルダが自分のかすかな光をみせるといってスカートの手の中にいれてスパークを飛ばしますが、これは後に述べられる内容で小便だということがわかります。(環161)

ラ・ゴルダは、これでナワールとヘナロが持っていた四つの盟友に会う準備ができたといいます。
リストアップしますと、

1)ドン・ファンの直方体(モノリス系)
2)ヘナロの巨大な目をした真っ赤な男

この二つにはカルロスよく出会ったと言いますが、以下の二つには一度しか会ってないそうです。

3)黒いジャガー
4)大きなコヨーテ

盟友の登場に怯えたゴルダが「両手におしっこ(piss)をかけて」といわれ戸惑うカルロス。(環165)
おしっこのスパークが近づいてくるものを追い払うのだといいます。

でも、自分で呼んでおいてどうしてそのように慌てるのでしょう?支離滅裂です。

二人は、逃げ惑いドン・ヘナロに家にいくことにします。

ドン・ファンもドン・ヘナロも自分の親指大のくびれのあるひょうたん(gourd)に盟友をしまってあったのだといいます。

盟友は、ポケモンや陰陽師のお話に登場する式神でしょうか。
ひょうたんは、初期の作品にもしばしば旅の道具として登場しますが、初期のドン・ファンは、ひょうたんに盟友が入っていることはまったく触れていません。

そこで、カルロスにはジャガーに見えていた盟友が、ラ・ゴルダには別の形態に見えていたことがわかり盟友の見え方は様々で実態がないものだということがわかります。

次に、ラ・ゴルダは、カルロスに人間の鋳型(human mold)の説明をします。

それにしても、修行期間が短いラ・ゴルダがまるで師匠のようになんでも知っているのでしょうか?
著者のカスタネダとしては、師匠なき今、作品の中で教師役を作り上げるしかなかったのかもしれません。

細々とした呪術の奥義をラ・ゴルダと話し合ったあと、二人は盟友を呼び出す実験をしてみました。
突然巻き起こった風にラ・ゴルダは空に吹き上げられてしまい落下してふわりと着地し、二人は、妹たちの家に逃げ帰ります。

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