2016年12月1日木曜日

呪術の彼方へ ~力の第二の環~(1) 概要

初期の四巻までのおさらいが一通り済みました。

これ以降は、ドン・ファン(が誰であれ)との対話という元ネタがなくなりカスタネダ独自の世界が登場人物たちの口を借りて語られていきます。

内容は以降、虚構だけになっていくので、おさらい作業はやらなくてもいいのではないかと思いますが、見落としている手がかりのようなものがあるかもしれないのでサラっと進めていければと考えています。

英文の上、量が多かったAmy Wallaceの『Sorcerer's Apprentice』もようやく読了しましたので、そちらのお披露目の準備も並行して進めて行こうと考えています。

この「第二の環」から、従来のシリーズには登場しなかった「女性」という要素が加わり妖しげな雰囲気になっていきます。そして事態がやけにややこしいことになっていきます。

男子校の間は平和だったのに、共学になって事が面倒になってきたような感じです。

もちろん以前もラ・カタリーナがいましたがあくまでも”点景”としての存在で、直接舞台に登場して言葉を交わしたりしたことはありませんでした。

ネタばれになってしまいますが、以降の巻で謎の存在の一人、”女ナワール”という呪術師に関する言及が増えていき、終盤になって彼女の名前が”キャロル・ティッグス”だということが判明します。

キャロル・ティッグスは、実在の人物で、カスタネダのサークルでは”Muni Alexander”という呪術名をもらいます。キャロル・ティッグスは、10年間、”第二の注意力”と呼ばれる”あの世”から生還した謎の存在というふれこみですが、実は呪術師でもない普通の人間だということが判明しています。

一方、この『第二の環』で活躍するラ・ゴルダをはじめとするパブリトの妹たちは、実在が怪しいと思われます。かろうじてラ・ゴルダだけが、もしかすると相当する女性がいたのでは?という下りがAmy Wallaceの著書に書かれていますがいずれもカスタネダが彼女に語った話なので信用できないかもしれません。

女性陣が活躍しだす、こうした後期シリーズは、実在のキャロル・ティッグスやフロリンダ・ドナーなどカスタネダのハーレムを”伝説”にし正当化するための下準備のために書かれたものかもしません。ひねくれすぎでしょうか。

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