2016年8月9日火曜日

バカノラをたずさえて(分離4 ひとりひとりの道(1))

カルロスは、バカノラというテキーラを頼まれてソノラを訪問します。(1969年9月4日の日誌。分離76)
バカノラを買い求めるために途中ヘルモシロに寄ったとあります。

またまた地図で確認しました。
「ヘルモシロ」と書いてありますが、Googleマップでは、エルモシージョ(Hermosillo)となってるのが読みでしょうね。(ついでにテキーラの名前の由来のバカノラの街にも青いピンを立てておきます)




バカノラは、ブランドというよりは、テキーラの種類のようです。

カルロスが買った、バカノラ(Bacanora)は、ウィキによると製造は1992年まで非合法で2000年に品質を定める法律ができるまで密造酒扱いだったそうです。
カルロスがドン・ファンへのお土産に買った当時は、一応非合法だったのですね。

ところでテキーラの原材料のリュウゼツラン(Agave)の種類によって「メスカル」と呼ばれるそうです。これってメスカリト、関係?って一瞬思いましたがスペルが違いました。

メスカリト:Mescalito
メスカル:Mezcal

お酒を飲まないドン・ファンが欲しがるなんて不思議だなと思っていたらバカノラを実際に飲むのは、ドンファンの孫のルシオだとわかります。

ルシオは、シリーズではここだけの登場ですが、ドン・ファンたち古い時代の伝統を受け継ぐ人々と近代化されたメキシコの若者たちとの関係がわかって興味深い部分です。

この様子は、あたしが80年代に習っていた「太極拳」の中国での扱いに似ているなと思いました。あたしたちは伝説の老師たちや伝統の技に憧れてはるばる中国を訪れてありがたがって習うのですが、現地の若者たちは、へ?太極拳?あんなの年寄りだけがやってるよ、みたいな扱いでした。

文中でも、ドン・ファンがカルロスを「カルロスはメスカリトの勉強をして、わしがそれを教えとるんだ」と紹介すると”みながわたしを見てニヤっとした”とあります。
このニヤは、「また馬鹿なニューエイジオタクの白人が来てるよ」ですね。

日本人が、”ZEN!”とか言ってありがたがる西洋人に対して抱く気持ちと同じですね。でも彼らを斜めにみるあたしたちが禅について多くを知っていて小ばかにしているわけではないですよね。
自分たちだって何も知らないくせになんだか変に思う。
これはどのような(料簡の狭い)心理なのでしょう?

カルロスは、孫のルシオに二年前に会ったことがあって当時、28歳だったそうです。
今、30歳。
逆算しますとルシオは、1938年生まれです。カルロスが13歳の時です。

ドン・ファンは、カルロスを伴っておみやげのバカノラを届けにルシオの家を訪ねました。
酒を飲んでだらしのない生活を送っている孫に、その酒を届けるのですからドン・ファンもやはり孫がかわいいのでしょう。
このあたりドン・ファンもやはり人なんだなと思って親しみを覚えます。

記述されているルシオの家は、とても素朴なつくりのようです。

----------
編み垣に年度を塗って作った家。メスキートの木の薄い梁で支えられていた。(分離77)
----------

ドン・ファンシリーズに登場する住まいの描写は様々で、掘っ立て小屋のような印象の家だったりパティオや中庭があるヨーロッパ風(スペイン?)の住宅だったり様々です。

後半になり明らかになりますが、ドン・ファンはいろいろな場所に家を構えていたようです。
追記:あたしの私的結論ですが、後半の作品は完全にフィクションなので各所に家を持っていたというのは怪しいです)

0 件のコメント: