2016年7月4日月曜日

教え~序文(2/2)~

後に、「創作」であると言われる要因のひとつに日付の矛盾があるといわれています。

それを見越してか、この序文では、対話と体験の記述で日付が食い違っていることがある、と書いてあります。

例えば、のっけから、初めペヨーテを体験した日の話は8月7日の項目なのに、ドン・ファンとカルロスによる事後のおさらいは8月5日になっています。要するに、日記を書いている時は、それ以前のできごとを書いているからですね。

もっと「致命的」な日時の齟齬もあるのかもしれませんが、あたしたち読者は、フィクション前提で読まれる方含め、だいたいこの頃ってな感じでよいのかもしれません。

追記2017/4/1)カルロスの妻(法律的に最初の妻)、マーガレット・カスタネダも自著で、カルロスの日付って意味があるのだろうか?と書いています。

彼が体験した幻覚性植物について一覧しましょう。

○三種類の幻覚性植物

ペヨーテ1)ペヨーテ(Lophohpora williamsii)=メスカリト(Mescalito)

このサボテンについては以前のエントリーで書いたことがありますが、日本でも普通に販売されていて栽培することができます。ただし、日本の土壌では”メスカリト”とは出会えないそうですのであしからず。

ドン・ファンはメスカリトを人格的に扱います。発音が、非常に似ているので調べたところやはりメスカリンという薬と同じ成分を含んでいるそうです。国内では、宗教団体が地下鉄サリン事件を起こした時にニュースで化学的に製造していたと聞いて、なるほど(いろんな意味で)と思ったものです。

なお、『知覚の扉』(オルダス・ハックスレー著)という本では、著者でもあるハックスレーが合法的に医学実証実験に参加した際の記録を読むことができます。

追記2017/4/1)カルロス・カスタネダは、この著者の大ファンだったそうです。前述のマーガレットもカルロスがドン・ファン熱に浮かされる前から彼がこのテの話題に精通していたことを述べており、ひょっとしたらすべてが創作だったかも・・・。でも確かにインディアンに会っていたし・・・と判断を避けています。


2)ジムソンウィード(Datura inoxia;D.meteloides)

日本語サイトには情報が少ないので英語版ウィキから引きました。
ドン・ファンは、ジムソン・ウィードを「彼女」と呼んでいて、あまり気に入ってなかったようです。

----------
Datura stramonium, known by the common names Jimson weed or Devil's snare, is a plant in the nightshade family. It is believed to have originated in Mexico,(後略)

Datura stramonium 2 (2005 07 07).jpgダチュラ・ストラモイウムは、ホウズキの仲間で一般的に、ジムソン・ウィードまたはデヴィルズ・スネア(悪魔の罠)として知られ、メキシコがその発祥の地とされている。

 Datura has been used in traditional medicine to relieve asthma symptoms and as an analgesic during surgery or bonesetting. It is also a powerful hallucinogen and deliriant, which is used spiritually for the intense visions it produces. However, the tropane alkaloids responsible for both the medicinal and hallucinogenic properties are fatally toxic in only slightly higher amounts than the medicinal dosage, and careless use often results in hospitalizations and deaths.

ダチュラは、伝統的な医薬で、喘息の症状緩和、手術や骨折治療の際の鎮痛剤として使われる。また幻覚や妄想を引き起こすため精神的に強力なビジョンを得るために使われることもある。 しかし、医療と幻覚にまつわるトロパンアルカロイドは致命的な毒性があり処方を間違えると死に至ることもあるので注意が必要である。

追記2017/4/1)ダツラ(ダチュラ)についてもマーガレットが興味深い意見を述べています。いずれ(pending)

3)きのこ(おそらくPsilocybe mexicana)

Psilocybe.mexicana.Xico.JPGカルロス当人も「おそらく」と書いてある通り、現場対応だったので学名などは不明なのでしょう。
仮に、「Psilocybe mexicana」とすると日本では「マジック・マッシュルーム」、「シロシビン」という名称のキノコのようです。

Psilocybe mexicana is a psychedelic mushroom. Its first known usage was by the natives of Central America and North America over 2,000 years ago. Known to the Aztecs as teonanácatl from Nahuatl: teotl "god" + nanácatl "mushroom."

シロサイブ・メキシカーナは、幻覚性のキノコである。2000年前から中央・北アメリカの原住民の間で用いられている。
アズテカ民族の間では、「神のキノコ」と呼ばれていた。


(2)のダチュラと(3)のキノコ(実際は、キノコを含めた様々な材料を混ぜて作られた薬)を使って力の獲得を手助けしてくれる盟友(ally)との出会いを行います。

○力の道具

ドン・ファンは「盟友」とは異なる「力の道具」についても触れています。
この道具については、1巻目の序文にだけ登場しますが以降は触れられていません。
彼が若いころ持っていた力の道具は、

・マイズ・ピント(Maiz-pinto)と水晶と羽

だそうです。

これも引いてみました。
ピント豆とは、「うずら豆」のことだそうですが、Maiz-pintoというとトウモロコシなんですな。
そういえばPINTOという車もあったなぁ。安い車の代名詞みたいだった。

マイズ・ピントとは、まんなかに赤い線のはいったとうもろこしの小さなつぶで全部で48個持っていたそうで、人を呪い殺す道具だそうです。
身体の中に入り込むそうで、恐ろしい代物です。

しかしドン・ファンは、これは道具は盟友とは異なり、大したものではないといった言い様です。

0 件のコメント: