2016年6月7日火曜日

カルロス・カスタネダの妻

追記2018/5/30)『A Magical Journey With Carlos Castaneda』について書き始めました。

カルロス・カスタネダの再(マイ)ブームに沸いている今日この頃です。

ネット情報もひところよりもありますし、ここ数年の英語のブラッシュアップ鍛錬のせいか英語の文献にもあたるのがあまり億劫でなくなってきているのも関係あるようです。
趣味の探求心ですな。

そこで日本語版ウィキペディアに記載されているカスタネダの記述でおそらく誤謬?と思われる内容を発見しました。
いろいろな個人ブログでも孫引きされている記述なので影響力も大きいと思いますので記述しておきます。

日本語版ウィキペディアのこの箇所です。(ちなみに英語版ウィキにこの記述はありません)

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(前略)ドン・ファンは実在の人物ではなく、哲学的パフォーマンスよって演じられた架空の人物ではないかとの推測もなされている。またカルロス・カスタネダの最初の妻 Margaret Runyan Castaneda は著書 My Husband Carlos Castaneda で、カスタネダの著作に書かれているような話は物理的事実としては存在しないとしている。(後略)
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まずマーガレットの「著書」となっている「My Husband Carlos Castaneda」ですが、そのような著書は存在しません。
どこかに寄稿された文章、あるいは真の著書からの引用だと思われます。

My Husband Carlos Castanedaという文章は下記サイトで読めます。
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The Twilight Zone Library
My Husband Carlos Castaneda
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このサイトの真贋については未調査です。
この記事によると、文章の頭に、
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Wanda Sue Parrott に話された内容である
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と記されています。つまり口述筆記かレコーディングによるものですね。
また文章の終わりにはこのように記されています。
こちらは本人が書いたとあります。

★重要な追記2018年7月3日!)
下記の「A Magical Journey With Carlos Castaneda 」を読んでSue Parrottが誰なのか判明しました。彼女は、マーガレット・カスタネダと奇妙な縁で友達になった旧姓Sue Childressという方で、Sue自身もカスタネダ本人と交流があった人です。
Sue Parrottとの出会いについては「A Magical Journey With Carlos Castaneda 」の記事第10回目からご覧ください


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NOTE: This article was written in 1975 by Margaret Runyan Castaneda.
She is the author of Millenia Press’ publication,
A Magical Journey with Carlos Castaneda.
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この記事は、1975年にマーガレット・カスタネダにより書かれたものである。
彼女は、Millenia 出版から出ている
A Magical Journey With Carlos Castaneda 」の著者である。
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そうです。これがマーガレットがあらわした本当の著書で今も買うことができます。

次に、「カスタネダの著作にかかれているような話は存在しない」という下りですが、「My Husband Carlos Castaneda」を読んでみましたがマーガレットは上記のような発言をしていません。

ドン・フアンの存在も含め本当のことはわからないわ。そのような人とのかかわりがあたしたちの結婚に終わりをもたらしたことは間違いないけど」とは言っていますが。

追記)2016/9/26。BBCが2006年に制作した”Tales from the Jungle”というカスタネダをめぐるドキュメンタリーで、マーガレット・カスタネダその人が「私はドン・ファンの存在を信じているわ」と証言している映像があります。ドン・ファンの実在の如何にかかわらずマーガレットが否定していないことだけは確実になりました。

追記の追記2017/4/21)マーガレットの上記の自著でも、はっきりとこう書いています。
”ドン・ファン”は実在する。彼は実在するインディアンで、実際にカルロスが会いに行っていた相手だ。(Maya115)

「マジカルジャーニー」はまだ読んでいないのでそちらには書かれているかもしれませんが、少なくとも「私の夫」の文章には記載されていません。
追記2018年7月3日)読了しました。やはり最後まで記載されていませんでした。

論文作成もそうですが、本当に孫引きって恐ろしいなと思いました。


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