前に「勤め人の墓場」を掲載しました。
そのあと図に乗って「続・勤め人の墓場」という新作をしたためましたが、いったん公開を待ちました。
と言いますのも前篇を後編につなげて作り直した方がよいかなぁという次第でして。
ということで今日は、前篇後編書き直しも含めた「完全版」ってやつをおとどけします。
--------------------
(出囃子の後、よっこらしょと座って、いきなり話し出します)
象が墓場に行くときは、象は、「オレもそろそろ潮時だな」
滝の裏側に墓場がある、なんてぇ話も、
あたしは象と付き合ってたことがあるので知ってんですが、象は、
でもね、いくらなんでも先輩の象が、現場を去るときに、
(
漠然と、仲間内で知っております。
猫もおんなじですな。
「猫の将(まさ)に死せんとするとき、その姿消すや悲し」
それで、サラリーマンも仕事で通用しなくなると、ある日、ふと、
そして、おもむろに、ネクタイをはずしますてぇと、
周囲のみんなも、先輩がどこへ赴くか察しているので、
墓場は、オフィスのどこかにあります。
職場の大きさによっては、その階全体が墓場のこともありますな。
例えは悪いですが、十三号地のとある商業ビルの七階には、
あたしの知り合いが、
なんとか生きて戻ってきましたけどね。
あるいは、ご覧になった方々もいるかもしれませんが映画『
あたしだって、もちろん自分が赴く場所はしってますが、
みんな象や猫のように、おのずと知るようになります。
これまでだれも大きな声で語ることがなかったてぇのもありますな
ま、これからも語られることはないでしょう。
さて、そんなわけで、大概の連中は、
あるいは、知っていても頑として拒む、
そこが象や猫と違って人間様の悲しいところでして。
(ここで本題に入るので羽織を脱ぎます)
「やいやいやい。ハチ公。てめえ、
「うるせえ!おめえはだまってろ。
(声をひそめてハチ公の耳元でささやきます)
「おめえはいつまでたってもそれだ。だから、てめえ
「知ってたまるかってんだ!なら、おめえ、
(静かな声で)
「わかった…。そこまで言うなら教えてやらぁ。ここだよ!
おあとがよろしいようで。
(完)
□勤め人の墓場<オリジナル>:大元のネタです。
□勤め人の墓場<解題> :この話の由来です。
0 件のコメント:
コメントを投稿