2017年1月19日木曜日

Amy(30) 13 「呪術師の秘密の家」マジック・ツアー(2/2)

屋敷の中はさっぱりとしていた。

白い石こうの壁。木製フローリング、必要最低限の家具。
カルロスが各部屋を見せてくれた。どれもミニマリストの部屋のようだった。

カルロスの長くて大きな寝室もちらっと見せてもらった。クイーンサイズのベッド、横にはテーブル、紙の束が乗っているシンプルな長机。"Canciones"(スペインの民謡)の本、スペイン語英語辞典。

カルロスの視力は衰えていた。

フロリンダが白内障(cataract)か緑内障(glaucoma)かその両方だだと教えてくれていた。
書類の文字サイズが大きいのに気がついた。タイプライターもコンピュータもなかった。カルロスが自分でとりつけた天窓から光が入り込んでいた。彼がとりつけられた長い棒で天窓を操作するのを後で見せてもらった。

部屋の隅にはアンティークの杖がたくさんおいてあった。
それはドン・ファンが使っていたものだとカルロスが教えてくれた。

部屋の中で唯一のちらかっていたのはベッドサイドのテーブルだった。
大きなナイフ、オパールのくさり、月光石、店のマッチに交じっておいてある琥珀。
25セント硬貨。大きな目覚まし時計。

変なオブジェクトが机の上にあった。それは二股に分かれているゴム製のディルド(張型)だった。二本にまたがってカルロスの眼鏡がおいてあった。
ぼくの眼鏡置きだよ」少し心配そうにいって部屋から出るように言った。

ドアが閉まっている部屋を通り過ぎた。
あの部屋はラ・ゴルダの部屋だった。彼女はエゴマニア(病的な自己中心)になって死んだんだ。彼女が死んだ日からあの扉は開けていない

家から暗くなった庭を通って外へ出るときにカルロスが家の鍵を探した。

そのとき、あとで誰かに尋ねられたときのために、ふいに通りの方角を確認しようとしたのが間違いだった。カルロスが固まった。

知っていた。きみがやるんじゃないかと思っていたんだ!きみは私立探偵か?!見たな!きみは失敗した。それだけだ。すべてを台無しにしたんだ
わ、わたしは―

(そのあと、エイミーの心情の部分がありますが割愛)

カルロスは黙っていた。私は泣いた。すぐにバークレーに戻れと言われた。

きみはだめだ!」かれは肩をすくめた「ま、ぼくもだけど

別れ際にキスをしようと思ったがそっぽを向かれた。

実に、めんどうくさい連中です。

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