2016年11月7日月曜日

メリッサ・ウォードの話(7)『ドン・カルロスの教え』(24)

1994年の終わりごろ、メリッサは仲間やカルロスたちの中に変化を感じていた。

Cleargreenはたくさんのセミナーを開催して大きくなっているのに、グループは方向性をなくしてきたように思えた。
何かを待っているだけのような、次に何をするのか迷っているような感じだった。

カルロスですら「何をしたらいいのかわからない」と言うことがあった。

彼がメリッサに言った「どこへ向かっているのかわからない。何が起きているのかわからない」

その上、カルロスは魔女たちの独裁に文句を言うようになってきた。

彼女たちが威張っていて彼の言うことも聞かなくなってきたのだ。

ある日曜のクラスではタイシャが自分の分だけハンバーガーを作ってカルロスの分を作ってくれなかったとずっと文句を言っていた。

なんだか可愛い。

彼は明らかに視力に問題がでてきたようだった ~ 糖尿病の噂を聞いていたが、誰もはっきりとは口に出さなかった。

みんなが突然、鍼治療や栄養に興味を持ち始めた。

メリッサはこうした領域に詳しかったし、仲間に受け入れられていたのでいろいろアドバイスを求められた。

ひとつだけ確かなことがあった。
カルロスは具合が悪かった。

肌の色は灰色になり、髪の毛も完全にグレーになった。
歩くとすこしよろよろしていた。

たまに彼が近くにきて握りこぶしの練習を手伝うとき酸味のある体臭がした。
メリッサの母親が死ぬ前にしていた臭いと同じだった。

そしてカルロスが二人の時に言った。「ぼくはもうすぐいなくなるよ。君もほかのメンバーも一緒に連れていくからね」

メリッサは戦慄した。

最初に思ったのはJim Jones(人民寺院)、Kool-Aid, Guyanaの集団自殺のことだった。

メリッサは、返事ができなかった。

(メリッサ・ウォードの話 ~完~)

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