三人の魔女の一人、キャロル・ティッグスがメキシコシティのホテルから「第二の注意力」に入り消えてしまった。「暗い意識の海」の側からビーコン(信号)として人を導くため彼女は10年間いなくなっていたと言うのだ。
ところが1985年、カルロスがカリフォルニアの書店で講演会を行っているとそこにティッグスがいたというのだ。彼女が復活したことは、マジカルパスを広く公開していいという「自由へのメッセージ」であると解釈したというのだ。
シニカルにとらえる人もいる。文化人類学者のCourtney Jay Fikesだ。
「カスタネダは、ドン・ファンシリーズで自分を預言者として作り上げたのだ」
「いわば聖書だ。しかしそこにはなにも儀式が書かれていない。だから発明したんだ」
例のBBCのドキュメンタリーでおなじみになったFikes氏ですね。
まったく同感です。
それから数年、多くのセミナーが開催された。週末だったり長いものは三週間にも及んだ。アメリカやメキシコそしてヨーロッパから多くの熱心なファンが参加した。セミナーは200ドルから1000ドル。Tシャツやビデオも販売された。ビデオは著名な小説家・脚本家のBruce Wagnerがてがけた。マジカルパスを行うコンサートで使用するツールも販売された。(個々のツールの説明とセミナーの様子は省略)
Amy Wallaceによると日本からも参加者がいたそうです。いまは、カスタネダをどのようにとらえているのでしょうか。
糖尿病で視力が衰えているカスタネダの晩年、メンバーの中に、プロの物書きがいたことは注目に値します。
そして続く数年間、テンセグリティのオリジナリティに対する議論が起きた。
テンセグリティが、カルロスが習っていたHoward Leeというカンフー教師の教えている内容と同じだというのだ。ちなみに『イクストランへの旅』はこのHoward Leeに献呈されている。
Howard Leeへの献呈の箇所は、英語版(1974年10月発行のペーパーバック)、日本語版ともで確認できませんでした。考えられるのは、英語版のハードカバー版ですが、今は調べる手段がないのでpendingとさせてください。
またリーがクリアグリーンに訴訟を起こさないようにカルロスは多額の金とピューマのペニス(なんらかの呪いの品?)をリーに渡したともいわれているが、リーは否定している。
リーは、テンセグリティのオリジナリティについてコメントも拒否しているが、カルロスがテンセグリティを教え始めてからは二人の関係は悪くなったことを認めている。
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1993年のある夜、メリッサはサンタモニカのアパートで40人ほどの人々とすしづめで一緒にあの偉大な男の話を聞くことになった。
ノートを持参してきたが途中であきらめた。怒涛のようなアイデアや話、ジョークなどが脈絡なく流れてくるだけなのだ。はじめはイライラしたが、だんだんと慣れてきた。彼の話はなぜか暖かいジャグジーに入っているような感じがしたのだ。
どうであれステキだった。彼女の気分が良くなった。
カルロスは二時間話しつづけた。スタンディング・オベーションだったが、メリッサはなんだかからだが麻痺したように坐ったままだった。気がつくとカルロスが自分のところに来て自分を見おろろしていた。
”あなたはいいエネルギーを持っている”そして去って行った。
翌日、The Chacmolsの一人がプライベートレッスンに来ないかと連絡してきた。
彼女がでかけるとカルロスが目の前に坐った。まるで彼女一人のためにレッスンをするようだった。そしてまたその翌日、The Chacmolsの一人が連絡をしてきてカルロスの家に訪問しないかと言ってきた。
それからカルロスが毎朝9時に電話をしてくるようになった。時には夜にもかけてきた。
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