2016年11月2日水曜日

メリッサ・ウォードの話(2)『ドン・カルロスの教え』(19)

何日か本を読み続けていると、カラスはだんだん図々しくなってきた。

窓をくちばしで突き、デッキの上を跳ねまわり、ハーブの植木鉢を倒したりして自分をアピールしていた。

三日目になると彼女の好奇心がまさりデッキに出てカラスのいるそばに坐ってみた。

カラスが彼女の椅子の上に乗ってきたのでブドウを与えた。彼女はもうろうとしてはいたが、カラスがとても奇妙な存在であると思った。うまく説明はできないが彼女が辛い時期を過ごすのを助けるためにカラスが彼女のためにいるというのがわかった。
カラスは、彼女が回復するまで毎日やってきた。

そして彼女が回復するといなくなった。

時が経ち、自分の生活が軌道にのるとカルロスについても忘れてしまっていた。仕事をいろいろと渡り歩き、彼女はUCLAの学部生になっていた。(38歳)

大学三年の時、1993年の冬、彼女の生活は充実していて多忙で幸せだった。
パートタイムの栄養コンサルタントとして働き、大学新聞にも寄稿していた。

女優ジェシカ・ラングの映画会社にインターンシップでつとめ、大学の授業もフルにとっていた ~ 卒業したらジャーナリストかエンターテイメント業界で働きたいと思っていた。

ある日、彼女の母親から電話がかかってきた。彼女はガンで死に侵されていた。

つづく9カ月は地獄のようだった。
看病をして最後まで看取って葬儀も取り仕切った。(少し省略)

通常の生活にもどろうとサマー・スクールに入ったが、既婚のライターである教師と不倫関係になって悲惨なことになってしまった。夏の終わりには学校もやめて部屋に引きこもり絶望の呪文(原文:manta of despairだがおそらくmantraのスペルミス)を繰り返すばかりだった。

「だれも気にしてくれない。希望なんてない。人生は最低だ」

(1993年)9月のある日、メリッサは健康食品の店で友人にばったりあった。
彼は、これから友達のアパートでカスタネダが小人数のグループに話をする会に行くんだと言った。

そのセッションは、Gabi Geutherというドイツ人の女性の尽力で実現したものだという。彼女は、熱心なニューエイジ信者でスクリーム治療のベテランだった。彼女はサンタモニカの書店の朗読会でフロリンダ・ドナー・グラウ他のカルロスの内輪のメンバーと親しかった。

メリッサはあの辛い時期を一緒に過ごした不思議なカラスを思い出した。彼女は一緒についていくことにした。

ここで「The Followersの話」のGabiが93年にはまだインナー・サークル(内輪の会)のメンバーだった時代だということがわかります。

Amy Wallaceの本によると、カスタネダのメンバーは書店でこのような催しを行うことが多かったようです。Amyの本にはGAIA書店というニュー・エイジ系の専門書店でのできごとが多く登場します。(ガイア書店はサンタモニカではなくUCLAのそばですので、メリッサが行った書店は別の本屋だと思います)

この書店については稿をあらためて立てるつもりです。


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