2016年10月20日木曜日

”フォロワーズ(The Followers)”の話(前篇)(4)『ドン・カルロスの教え』(6)

カスタネダ自身は、三冊目の著書『イクストランへの旅』が論文として認められUCLAの文化人類学部で博士号を取得していた。

カスタネダの旅は、学部生時代にアメリカ南西部に自生する幻覚性植物の民族植物学研究からはじまった。

The Followersは、自分たちの行動をある種、学術的な敬意の現れとも考えていた。
そして自分たちの動機は純粋で真摯な強い気持ちにもとづくものであることを知っていた。

カスタネダを傷つけるつもりはなかったし、彼のことが好きで尊敬もしていた。
カスタネダは常に非日常的現実を探求することについて語っていたので、彼にただ、近づきたかったのだ。

説明するのは難しいが、非日常的現実は彼らのものでもあったのだ。

ついにグレッグとガビはヒュンダイを降りて外に出た。

目立たない服を着るとドアを静かに締め注意深く通りを渡った。いつもの習慣で、彼らは建物のEastborne通り側からスタートした。カップルが健康のための散歩をしているかのように腕を組んでさりげない様子で建物に沿って歩いた。

ちょっと歩いたところで突然、彼らの前の植え込みからアライグマの一家が現れた ~ 2匹の親と2匹の赤ちゃんアライグマが一列になっていた。
この近辺でアライグマを見かけることは珍しいことではない。

しかし、the Followersはこの地域を昼も夜も知り尽くしているがこれまで一度も見かけたことはなかった。
二人は、うっとりして可愛い動物たちが歩道を歩いている姿を見つめていた。行列の最後の一匹は小太りでみんなに追いついていくのが大変そうだった。

The Followersは、アライグマたちをパンドラ通りの北の角までついていった。途中、母アライグマは、列をはずれて太った子供が遅れないように鼻でせかした。彼らがパンドラゲート(カスタネダと魔女たちが使う)に着くといきなり右に曲がり植え込みに入ってしまった。両親と一匹目の子供は見えなくなった。太った二匹目だけ立ち止まり振り返った。それはグレッグとガビを長いあいだ見て手招きするようなしぐさをした。キラキラ光る黒い目がまるで「ついておいで」と言っているようだった。

グレッグが一歩進んだ。太った赤ちゃんアライグマが植え込みに消えた。グレッグがまた一歩進んで行方を見ようとした。大きな黒い蛾が植え込みから飛び出した。数秒彼の顔の前をふらふら飛んだ。それは、立ち入り禁止と言っているようだ。

カスタネダの著書で「盟友」は蛾の姿だったり「知」そのものだったりします。

「おい!見たか?」

ガビは言葉を発することもできなかった。
二人は、その場にくぎ付けになり背筋がぞくぞくっとした。グレッグの首筋の毛が逆立った。

グレッグとガビは、見つめあい肩をすくめると20フィートほど北にある呪術師の私道に向かった。こっそりと近づくと置いてある大きなゴミ箱のふたを開け中を覗いた。

グレッグは中を漁って三つのゴミ袋をガビに手渡し、自分は四つ持った。

ゴミ箱漁りは最初誰が思いついたか覚えていない。ある日どちらからともなく始めた。
水曜日がゴミ集めの日なので前日の火曜日がねらい目だった。どのみちホームレスたちだって漁ってるのだ。

毎週火曜日が「ゴミ集めの日」になった。サンタモニカの貸スタジオで同志のfollowersと一緒にマジカルパスの練習をした後やってくる。

言われてみればマジカルな感じですね


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