2016年10月17日月曜日

”フォロワーズ(The Followers)”の話(前篇)(1)『ドン・カルロスの教え』(3)

※基本色の文字は、原文の抄訳。色は、あたしのコメントです。
 カスタネダ用語は、にします。

■”フォロワーズ(The Followers)”の話(前篇)(1)

先に説明をしておきますと、”フォローワーズ”は、本チャプターの主人公たちGabiとGregの二人が自分たちにつけた”チーム名”または活動名です。あたしの抄訳中は、カタカナだったりアルファベットだったりと気まぐれです。

フォロワーズは、埃まみれのヒュンダイのヘッドライトを消して、いつもの場所に車を移動した。そこは呪術師の屋敷の敷地交差点、斜め向かいの駐車禁止の場所だった。

(おそらく1997年)8月上旬、少し涼しい火曜日の夜だった。空はロスにしては晴れていた。神秘的な空が10年落ちの車の窓ガラスを通して誘い込むように瞬いた。
コオロギの声、犬が吠え、エンジンの熱でむっとしていた。
次のミッションに備え彼らはしばし無言であたりに漂うジャスミンの香りを楽しんだ。

「準備はいいか?」グレッグ・マミシャン(Greg Mamishian)は、屋敷の様子を窺いながらたずねた。髪は虎がり、グレーで目が輝いている。50歳、背は低い。

グレッグは、元陸軍のヘリコプターエンジニア、ベジタリアンで筋肉質。ベトナムに従軍していた以外は、これまでの人生、家から10マイルの活動範囲で暮らしてきた。

現在は、電器屋を自営、通勤時間も含めて1日5時間だけ働くことにしている。
トパンガ峡谷(Topanga Canyon)の荒野で快適な暮らしだった。薪ストーブ。テレビはなく二部屋だけの小屋で質素な暮らしをしていた。



地図で見ると、カスタネダの屋敷があるウェストウッドから10キロちょいですね。

グレッグは、単調な仕事をこつこつこなして自己管理をきっちりする生活を好んだ。
ばかばかしいジョークが大好きでいたずらの才能があり、ドタバタコメディの大ファンだった。

「おいらは人生ゲームのコマだ("Mongo just pawn in chess game of life")」大好きなブレージング・サドルのセリフを言った。

車のハンドルを握っているガビ(Gabi Geuther)が心配げに言った。「まだ少し早いわ。The Energy Trackersがまだ中にいるかもしれないから」

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The Energy Trackers
カスタネダが女弟子につけたニックネームのひとつ。他にもブルースカウトだとかオレンジスカウトだとかエレクトリック・ウォリアーだとか変な名前のメンバーがいます。
特に、本作にも登場するChacmoolsは、カスタネダの女用心棒たちのような存在です。
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小柄なガビは、ドイツのバヴァリア(Bavaria)で学校教師の家に生まれた。哲学、文学、宗教、政治学を学んだ。20代は過激な連中とのつきあいでベトナム戦争をやめさせようとハノイまで出向いたこともある。その後、キリスト教関連の活動をした。スペインをはじめとしてヨーロッパ各地でしばらく暮らした後、アメリカに移住した。そこでスクリーム・セラピー(primary scream therapy)を極めるつもりで。5年間、泣いて暮らした。
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絶叫療法、患者に叫ばせることで治療を行う、さまざまな心理療法の総称。
だそうです。アルクのウェブサイトより
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二人とも結婚は二回目だった。つき合って6年たつが籍を入れたのは最近のことだ。
そして二人を結びつけている共通の趣味が「カルロス・カスタネダ」だった。

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ガビは活動のビジョンとアイデア、そして熱意を受け持っていた。「予兆」を読んで、エネルギーの繋がり精霊をおいかけ、非有機的生命である捕食者を追いエネルギーを求めていた。
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上記カスタネダ用語の説明は省きます。
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彼女がまず生活に「呪術師の世界」を持ち込んだのだった。
だから呪術師のグループから追い出されたときもっとも傷ついたのも彼女だった。

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本原稿の後半でガビたちが元は、カスタネダのイナー・サークル(少人数の弟子グループ)の参加メンバーだったことがわかります。
この作品では何が理由で彼女たちが追い出されたかは書かれていません。
BBCの番組によると、二人はカスタネダに幻滅してから真実を追求するようになったとありますが、本作品では、ファン熱が高じてゴミ漁りまでしたようにもとれます。ゴミ漁りがバレて追放されたのかもしれませんが定かではありません。
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グレッグの役割は道具の手配や戦略立案、サポートと熱意、ユーモア、緑茶とマクドナルドのフライドポテトといったより現実的なものだった。

ガビは、クールで学究肌的な外見だったが内面に熱い感情をたたえていた。一方、グレッグは感情よりも、ばかばかしい冒険に夢中だった。

たぶんグレッグはガビほど入れ込んでいなかったようだ ~ もともと入れ込む質じゃなかった ~ 彼は、片足を別のところにおいたまま人と付き合うような感じの男だった。

いやひょっとすると彼が見た生々しい夢は「第二の注意力」への入口だったのかもしれない。彼は古代の呪術を練習し始めて集合点を動かせるようになっていたから。

彼は、翼を使わずに他の世界へ旅をし、素晴らしいもの、美しい物、信じられないものを見て人生が変わってしまった。

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第二の注意力異次元(あの世)
集合点肩甲骨の後ろ腕を伸ばしたところにあって、これを移動することで意識を高次にもっていくことができる・・・らしい

まじですか?グレッグは、ドン・ファンの教えを実践してなにができるようになったのでしょうか?それともドラッグ?瞑想をした影響(魔界)とか?

もしかすると、カスタネダ本人よりも凄いかも。
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