2016年10月6日木曜日

『呪術師の飛翔』(1) 概要と紹介1/2

フロリンダ・ドナーの『魔女の夢』に続いて、カスタネダの愛弟子であり魔女の一人、タイシャ・エイブラーの『呪術師の飛翔―未知への旅立ち』の紹介をします。

まずはファクトから。
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呪術師の飛翔―未知への旅立ち 単行本  2011/3
タイシャ エイブラー  (著), Taisha Abelar (原著), こまい ひさよ (翻訳)
単行本: 420ページ
出版社: コスモスライブラリー (2011/03)
発売日: 2011/03
(c)1992 The Sorcerer's Crossing by Taisha Abelar
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ドナーの『魔女の夢』を読んだ後、ほどなく読了していたのですが、カスタネダ本編のおさらいの方を進めていましたので後回しにしました。

正直言いまして、超つまらなかった。
カスタネダファンの方々が今もどれくらいいらっしゃるのかわかりませんが、これからの方は、これは特に読まなくていいと思います。

内容は、
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アリゾナでクララという謎の女性に誘われるままにメキシコの呪術師の屋敷で暮らすようになったタイシャは、自分が呪術師候補として14歳のころからグループに目をつけられていたことを知る。クララやジョン・マイケル・エイブラー(ドン・ファン)たちを師として呪術の修行をする。
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です、以上。

タイシャは、改名する以前は、Maryann Simkoという名前で、Amy Wallaceによると90年代初期にカルロスがハリウッドの社交界で華麗な交流をしていたとき、アンナ-マリー・カーターと呼ばれていました。

この本は、原題が”The Sorcerer's Crossing by Taisha Abelar”。1992年の発行でドナーの『魔女の夢』の7年後の発行、カスタネダが66歳の時の作品です。

フロリンダ・ドナーの『魔女の夢』は、ドン・ファンとはまったく系列の異なるベネズエラの治療師との生活を描いたものですが、タイシャの『飛翔』は、彼女が直接、ドン・ファンたちと接触した”体験ということ”で書いたものです。

だからタイシャの『飛翔』はカルロス・カスタネダの著作に書かれている呪術の体験と重なる部分が多いだけに「作文能力の巧拙」が気になってしまうのかもしれません。

ようするに文章が下手で、そこで描かれている呪術の体験も薄っぺらい感じがしてしまうのだと思います。

これは、カルロスの本とタイシャの本の出版社が異なるのも原因のひとつだと思います。前者は、SIMON & SCHUSTER。そして後者は、Penguin Bookのグループ、Vikingとなっています。

Amy Wallaceは、SIMON & SCHUSTERから自著を出版していた関係で同社の親しい人間から、カルロスの文章を書き直すライターがいたことをつきとめています。

エイミーは、カルロスがくれた『分離したリアリティ』に書かれていたカルロスの自筆の文章をみて彼の英語のライティング力が高くないことに気がつきました。それでゴーストライターの存在を調べてみる気になったと書いています。(Amy24)

この文章の下手さとカスタネダの後期の作品との整合性からみてこの『呪術師の飛翔』は実はカルロスが執筆して編集者が仕事流して加筆修正を加えず、そのまま出したものではないか?という邪推をしています。

ドン・ファンの後期シリーズの内容を補強するために、そして「カスタネダ・スクール(クリアグリーン)」の整合性をとるために書かれた作品なのでは?とも思います。
(ファンの方も多いので再度強調しますが、個人的邪推です)

あたしもふつつかながら、90年代にMacintoshの入門書というのを出したことがあるのですが、編集者との連携がとれなくてえらい恥ずかしい本になってしまったことがあります。編集がいかに重要な業務か痛感しました。

ドン・ファンが亡くなったのは、ドイツ語Wikiによると1973年となっています。
一方、1976年、Amy Wallaceの兄夫婦にカルロスがドン・ファンが去ってしまうとうろたえていたというエピソードがあります。(Amy30)

亡くなったにせよ、未知の世界へ去ったにせよドン・ファンがカルロスから去ったのをAmy Wallaceの兄夫婦という「常人」の証言を信用して76年という仮説を立てます。
しがないあたしの仮説です。

Amy Wallaceのいうことが全部本当か?というのもありますが、あたしは全面的に信じることにしました。

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