2016年10月28日金曜日

グロリア・ガーヴィンの話(3)『ドン・カルロスの教え』(14)

カルロスの母親は、Susana Castaneda Novoaといって16歳で結婚した。
彼女はカルロスが24歳の時に亡くなった。

Amy Wallaceの本では、カルロスが25歳の時と記載されています。

カルロスは母親の葬式に出なかった。カルロスのいとこによると何も食べずに三日間自分の部屋から出てこなかったという。喪が明けると彼はアメリカに行くと言った。

子供の頃、カルロスは教会の侍者をつとめ地元の公立学校にかよった。

父の宝石店にもよく出向いた。次第に銅や金の扱いも巧みになったが自分が作ったものを売る商売を嫌っていた。カハマルカ(Cajamarca)の学校を中退するとリマに移り高校を卒業し、そしてBellas Artes, Peru’s national academy of fine artsに入学した。

当時のルームメイトはカルロスのことを「大ウソつきで最高の友達だった」といっている。
馬鹿騒ぎは大好きだったが酒も飲まずタバコも吸わなかった。ギャンブルで生計をたてていて、アメリカに行くことにとり憑かれていた。
ギャンブルで金持ちになるんだと言っていた。

当時のクラスメートは、カルロスは有能で好感をもてたが少しミステリアスだったと言っている。

そして「金の笑顔」でもてまくっていた。よく使えない時計をマーケットに持っていて売りさばいてはとんずらしていた。ありそうもない話をいつもしていた。と言っている。
(続いて経歴についてのカスタネダとタイム誌記者のやりとりは省略)

カルロスの人生のあやふやさより困ったものなのが彼の著書の学術的な信頼性の問題だった。(このパラフラフは簡略化してます)

カルロスの最初の二冊の著書に関して、デミルは幻覚性植物の専門家ワッソンの研究などを手掛かりに大量の偽造の証拠を見つけた。(こちらも簡略化してます。詳しくはデミルの”虚実”を参照してください)

デミルによると、ドン・ファンの教えはアメリカインディアンの民間伝承、東洋の神秘学、西洋哲学を組み合わせて作ったものだという、中でもHuxley and
Puharich, Slotkin and Wasson, Goddard and Yogi Ramacharakaの影響が大きいと言っている。
Yogi Ramacharakaというのは、アメリカ人(William Walker Atkinson)のオカルティストの偽名である。

デ・ミルはヤキ・インディアンの文化との不整合についても多くを指摘しておりドン・ファンの実在性に疑問を投げかけている。(同じく、ドン・ファンについてのパラグラフを省略します)

「Carlos Castaneda, Academic Opportunism and the Psychedelic Sixties」という著書で、文化人類学者のJay Courtney Fikesは、ドン・ファンは、ワッソンやUCLAの文化人類学者たちが研究した様々なシャーマンを組み合わせたものだと推論している。
カルロスは、UCLAの大学院研究図書館に入り浸っていた。

本章、グロリア・ガーヴィンの叔母(司書)が”カルロスはフィールドワークを実際には行わず図書館の資料をもとに作り上げたという説”の証人である、とにおわせています。

カスタネダのでっち上げたエピソードにいくばくかの真実があったとしてもHuichol, Yaquiや他のネイティブアメリカンの文化を矮小化している」とFIkesは言う「大量の怪しい材料ででっちあげられた内容にわずかだが真実が混ぜ合わされている。カスタネダの本の中に民俗学的な真実を見つけるのはふるいで金を捜すくらい大変なことだ」

このFikes氏は、例のBBCのドキュメンタリーのキーパースンとして登場します。
番組で彼はドン・ファンのモデルは、ヤキ・インディアンではなく、ウイチョル・インディアン(Huichol Indians)だと結論づけています。
Dr.Fikesについては、追って一稿立てる予定です。

あたしは、そうとも限らないなと思ってまして、上記にあるような「事実と虚構の組み合わせ」だと思い始めています。

番組の中でも述べていますが「文化人類学的」見地からいうと大きな損害があったことは間違いがないのでしょう。(ドン・ファンの出自や正体を隠したため)

カスタネダの虚構の混ぜ方ですが、『分離したリアリティ』の後半。「ヘナロの滝渡り」あたりから一気にフィクション化が進んでいると見ます。

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