2016年10月16日日曜日

『ドン・カルロスの教え』(2)概要(2)

■『ドン・カルロスの教え』の構成について

冒頭に「オムニバス」と書いたように複数の登場人物を巡ってのエピソードが全部で7話の構成になっています。第一話と第七話は主役が繋がっていて前篇、後編になっています。

ちなみに各話(章)のタイトルはあたしが適当につけたもので原文にはありません。

●1:”フォロワーズ”の話<前篇>
●2:マーガレット・ルニヤンの話
●3:グロリア・ガーヴィンの話
●4:ジェレミーの冒険
●5:メリッサ・ウォードの話
●6:C.J.カスタネダの話
●7:”フォロワーズ”の話<後編>

話によっては、前述のデミルの批評を引用して紹介するのが実はメインで主役のグロリア・ガーヴィン自身のエピソードは量があまりなかったりします。

また未読なので間違っていたらすいませんが、第二話のマーガレットに書かれているエピソードはおそらくマーガレットの自伝『A Magical Journey With Carlos Castaneda』(2001年発行)に書かれた内容を引いているのでは?と思います。

デミルとマーガレットの例から、他の人々の話ももしかすると原典があるのかもしれません。
できれば著者のマイク・セイガーには独自調査の内容については別途明記しておいてほしかったと思います。

一話目と七話目、”フォローワーズ”の主役、ガビとグレッグ夫妻は、例のBBCのドキュメンタリーに登場しますし、エイミーの著書にも登場するので「カスタネダ業界」では有名な人だったのかもしれませんし、もしかすると執筆年次が一番古いこの記事の著者、マイク・セイガーが発見者なのかもしれません。


■各章の概要

●1:”フォロワーズ”の話<前篇>

カスタネダの熱狂的信奉者の夫婦ガビとグレッグは熱が高じて魔女の屋敷のゴミ漁りをします。ここでカルロス・カスタネダを知らない人に彼の活動の概略が紹介されています

●2:マーガレット・ルニヤンの話

カスタネダの元妻マーガレットとカルロス・カスタネダのなれそめが紹介されています。カルロスの経歴についても記載されています。
少しだけ性的描写がありますのでご注意ください。

●3:グロリア・ガーヴィンの話

ニューエイジ時代の若い女性がカルロスにたらしこまれる様子を描いています。カルロスの女好き度合がよくわかる章です。エイミー・ウォレスの著書と合わせて読むとゲス度合が深まりさらにファン失望の度合いが高まること請け合いです。

また、ここでは『ドン・ファンシリーズ』の内容の概要が紹介されているとともに、カスタネダ批判で有名なデミルの批評の紹介があります。

●4:ジェレミーの冒険

IT関係のニューエイジオタク、ジェレミーは、『ドン・ファンシリーズ』に書かれた教えを実際に実践しています。短い章ですが、カスタネダが提唱する「夢見の技法」の一失敗例です。

●5:メリッサ・ウォードの話

これまた別の精神世界マニアの女性が口説かれる話ですが、カルロスも年を取ってきていますので妙な取り込まれ方をします。カスタネダのグループが行っていたビジネスについて記されています。エイミー・ウォレスの著書と合わせるとさらに実態が浮き彫りになってくると思います。

●6:C.J.カスタネダの話

カスタネダの嫡子。C.J.の物語です。ゲスだの女たらしだの書いていますが、この章を読むとカスタネダが不憫に思えてきます。
愛するものたちを捨ててまで得る戦士の自由とはなんでしょうか?

●7:”フォロワーズ”の話<後編>

ガビとグレッグ夫妻がうっかりバケーションにでかけている間にカスタネダが亡くなります。オタクの名誉にかけて二人は真実を探ります。

どの章も面白いですが、中でも”フォロワーズ”の活動は傑作です。

では、次回より本編の紹介を進めます。

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