2016年7月8日金曜日

教え3 ダツラの体験と煙の準備(1/5)

ダツラ(ジムソン・ウィード)は、ドン・ファンの恩師(benefactor)の盟友で、ドン・ファンは「彼女」と言う呼び方をします。

メスカリトにしろ煙にしろ、何かと擬人化して「精霊」っぽい扱いをするあたりは、後年明らかになるようにドン・ファンがカルロスの「希望に沿うように」、わざわざ白人が憧れるアニミズムを信仰する「呪術師」らしい振る舞いをしていたたともとれますし、ドン・ファンの師匠に習った通りの昔の風習を教えていたとも考えられます。

フィクション説的にいいますと、スタート時点ではアニミズム傾向で書いていたが、だんだん面倒になってよりニュー・エイジ的内容になっていったとも解釈できます。(あたしと同じような印象をもったカスタネダ研究者がいます。これについてはいずれ改めて)

追記2017/4/20)前半にはきちんと元ネタとなるフィールドワーク(ドン・ファンに相当する情報提供者)があって、後半はカスタネダが自分で考えて創作で書いたと今は解釈しています。

たしかにドン・ファンの発言は後になればなるほど「近代的」になっていきカタカナ用語やインテリ風の言い回しが増えてきます。

おまえにとって抽象とは、直観の状態を表すことばなのだろう。そのいい例が”精霊”ということばだ。これは理性や実用的な経験を表すものではない」(沈黙p62)

とか憧れのネイティブの長老系呪術師が普通いうか?(笑)

後に、ドン・ファンがパリっとして三つ揃えのスーツでカルロスの前に姿を現したとき「わしは株主なんだ」と言いますが、これはひょっとすると本当のことで本職は個人投資家なのかもしれません(笑)

これまたカルロスがさらに後に、ドン・ファンが仕事ではずすと言うときは、言葉の綾で「仕事」といってるのだろうと思っていたが本当に仕事をしていて驚いたと書いているので、まじでどこかの企業の役員でもやってたのかもしれません。

だってドン・ファンの小屋だって実は演出だったってカルロスに告ってるんですから。
(それすらも後から辻褄合わせてるだけかもです)

さて、人格化された呪いのわら人形みたいな様子に仕立てるデビルズ・ウィードには四つの頭があって、種はその内の『穏健な頭』なのだそうです。
しかし、この穏健な頭の秘密に達するものは少なかくドン・ファンの恩師も達しなかった、といいます。

この説明で重要に思えたのは、「(恩師も含め)彼らはその(頭の)知識が大事な時代に生きていたんだ

という部分です。

これは後に、呪術師には「世代」があって古い時代の連中とドン・ファンのような「近世」に育った連中の二つに分かれ考え方や知識の取り扱いにギャップがあるという説明がされます。

「・・・大事な時代に生きていた」というのは古い世代を示唆していると考えられます。

ドン・ファンは、新しい時代の呪術師なのでインテリ呪師なのだ、としておきましょう。

0 件のコメント: