ところで、日本語訳のタイトルとサブタイトルの関係について記しておきます。
英語版と併記しましたので見比べてみてください。
(どちらもウィキペディアの孫引きです)
まず、二見書房版日本語版のタイトルは、すべて日本語版オリジナルです。
洋画のタイトルのつけ方と同じような企画方向ですね。
たしかに原著のままのタイトルだと商業的にいかにも厳しそうです。
やはりここはオカルティックに”呪術師”とこなくちゃ。
ところで、最初にこの本を教えてくれたアメリカの友人は、カスタネダの本は当初、書店では文化人類学コーナーにおいてあったが、SFコーナーにおいてあるところもあるんだ、と笑っていました。
1.『呪術師と私 - ドン・ファンの教え』
(1974年)
The Teachings of Don Juan: A Yaqui Way of Knowledge
, 1968. ISBN 0-520-21757-8. (Summer 1960 to October 1965.)
1974年10月22日 初版
1999年12月25日第27版
原著のサブタイトルが本来のタイトルで、さらに原著のサブタイトルは、いかにも米国英語風のネーミングになっています。
ヤキ流の知恵
でしょうか。英語のリズム感を日本語化できません。
ついでに次の英語ならいかがでしょう?
He is a man of knowledge.
これだと彼は知恵のある人だ、ですな。でも、Man of Knowledge と Wise man では音感がまったく違います。前述の友人は、よくふざけて賢い犬ををみると ドン・ファンにちなんでDog of Knowledgeとか言ってました。
2.『呪術の体験 - 分離したリアリティ』
(1974年)
A Separate Reality: Further Conversations with Don Juan
, 1971. ISBN 0-671-73249-8. (April 1968 to October 1970.)
3.『呪師に成る - イクストランへの旅』
(1974年)
Journey to Ixtlan: The Lessons of Don Juan
, 1972. ISBN 0-671-73246-3. (Summer 1960 to May 1971.)
この二つの巻は、原著のタイトルが日本語版のサブタイトルになっています。日本語版のタイトルは、それっぽく考えたのでしょう。いずれにせよ、商業的には「呪術」とつけた方が引きが強いですよね。
特に、原著のタイトルである『イクストランへの旅』というのはこの本のクライマックスともいえる感動的な逸話になってましてイーグルスの「Hotel California」の詩を想起させます。
4.『力の話』
(2014年)(太田出版)
※『未知の次元』
ハードカバー(講談社)は1979年発行。文庫版(講談社学術文庫)は、1993年発行。
Tales of Power
, 1974. ISBN 0-671-73252-8. (Autumn 1971 to the 'Final Meeting' with don Juan Matus in 1973.)
前にも書きましたが、この一冊だけ版権が異なっていました。どのような経緯だったのでしょう。(pending)
したがって日本語版特有の「呪術」や「呪師」という惹句がありません。
あたしは、『未知の次元』を間違えて二冊購入してしまいました。一冊目は、タイトルから勝手に「新しい本」だと思って購入、そのまま未読のまま放置。二冊目は、前に勝ったのをすっかり失念。アマゾン・ジャパンが立ち上がったとき、日本語訳版をまとめ買いしたときに一緒に購入しました。
一冊目は、あたしの「自炊生活」でPDFになってしまいました。
二冊目は、長らく行方不明になっていたのですが、つい最近、職場のデスクの引き出しからひょっこり出てきました。(2016年10月)
未知の次元(一冊目):1993年6月10日第1刷
未知の次元(一冊目):2000年8月21日第7刷
5.『呪術の彼方へ - 力の第二の環』
(1978年)
The Second Ring of Power
, 1977. ISBN 0-671-73247-1. (Meeting his fellow apprentices after the 'Final Meeting'.)
6.『呪術と夢見 - イーグルの贈り物』
(1982年)
The Eagle's Gift
, 1981. ISBN 0-671-73251-X. (Continuing with his fellow apprentices; and then alone with La Gorda.)
7.『意識への回帰 - 内からの炎』
(1985年)
The Fire From Within
, 1984. ISBN 0-671-73250-1. (Don Juan's 'Second Attention' teachings through to the 'Final Meeting' in 1973.)
8.『沈黙の力 - 意識の処女地』
(1990年)
The Power of Silence
: Further Lessons of Don Juan, 1987. ISBN 0-671-73248-X. (The 'Abstract Cores' of don Juan's lessons.)
9.『夢見の技法 - 超意識への飛翔』
(1994年)
The Art of Dreaming
, 1993. ISBN 0-06-092554-X. (Review of don Juan's lessons in dreaming.)
5巻目から7巻目までは、サブタイが原著タイトルで日本語タイトルはオリジナル。
8巻と9巻は、原著のタイトルをそのまま日本語タイトルにしていますが、サブタイトルがオリジナルです。
10.『呪術の実践 - 古代メキシコ・シャーマンの知恵』
(1998年)
Magical Passes
: The Practical Wisdom of the Shamans of Ancient Mexico, 1998. ISBN 0-06-017584-2. (Body movements for breaking the barriers of normal perception.)
11.『時の輪 - 古代メキシコのシャーマンたちの生と死と宇宙への思索』
(2002年)
The Wheel of Time
: Shamans of Ancient Mexico, Their Thoughts About Life, Death and the Universe, 1998. ISBN 0-9664116-0-9. (Selected quotations from the first eight books.)
10巻目、11巻目は、タイトル、サブタイとも原著の通りになっています。
すでにカスタネダシリーズも有名になっているので無理なタイトルを考えずとも売れるだろうと考えられたのでしょうか。
また、『時の輪』だけは翻訳者が異なっています。
本の内容も、「語録集」のような体裁になっていて、「聖書」や「論語」のような編纂物のようです。
12.『無限の本質 - 呪術師との訣別』
(2002年)
The Active Side of Infinity
, 1999. ISBN 0-06-019220-8. (Memorable events of his life.)
最終巻のタイトルはサブタイも含め日本語版オリジナルです。
原著は、
無限の活動的な面(笑)。 サブタイトルは『インターネットはからっぽの洞窟』(クリフォード・ストール著)なみの訣別感満載です。このリスト作成時は未読なので読後感含め後ほど。
追記)読了後の追記です。まったく「訣別」じゃありませんでした。でも、後期の中ではいい本だと思います。
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