1962年7月6日の日記は、重箱の隅をつつくためにとても重要な部分です。
ここで書かれているのは少し前の6月23日のできごとで、その日の午後おそくに「チワワ(州)へキノコを探しに行く」旅に出た、とあります。
英語版の原本を確認すると、確かに「キノコ(honguitos/mushrooms)を探しにいく」と書いてあります。キノコですよ。
チワワ州は、ドン・ファンたちの本拠地、ソノラの隣の県ですな。
世に出回っているカスタネダ批判のひとつに、キノコの産地の話がありまして。
カスタネダが「教えの序文」で、たぶん、「シロシベ・メキシカーナ」だろうと書いてあるキノコが、ソノラ砂漠には生えていないのだそうです。
でもね。ここでは二人は、チワワに採取に出かけているんですよ。
どうなんでしょ?チワワには生えているのでしょうか?
調べてみたんですがわかりません。
27日の午前10時に、チワワ北部の小さな炭坑町について彼の友人のタラウマラ(Tarahumara)・インディアンの夫婦に世話になったそうです。
この夫婦も呪術師仲間なのかなぁとあたしは思っています。
追記)タラウマラ族は、ペヨーテを扱うそうです(虚実p182)
ドン・ファン、創作説でひきあいに出されるのが、ヤキ・インディアンはドン・ファンが行う呪術やドラッグを使わないという話があります。
たしかにドン・ファンはヤキ部族出身なのかもしれませんが、ここでは別の部族であるタラウマラ部族との交流が描かれています。
またシリーズを読み進めると、ドン・ファンの教えがまったく「部族」と関係がないということがわかってきます。
彼が実践しているのは、中央メキシコに太古(トルテック)から伝わる知識やノウハウということで、ドン・ファンの先生や、そのまた先生も出自や人種はまったく不明ですし、ドン・ファンと彼の師匠との出会いもまったくの偶然です。(通りすがりだし)
なのでドン・ファンはヤキ族の先輩から部族の伝統としてこれらを教わったわけではないことがわかります。
また大師匠たち先達の弟子、孫弟子たちも様々な人種のようです。
もしかして、部族ネタをつっこまれて後半の展開を執筆したのかも?と疑ってみるのもまたをかし。
(稿を一旦分けます)
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